Vol.3  クラインガルテン六ノ里

父亡き後、形見の滞在型市民農園を承継

引渡者
 
父 北山一朗さん
引受者
 
息子 北山健太郎さん
北山一朗さんと北山健太郎さんの画像

クラインガルテン六ノ里

所在地
〒501-5112 岐阜県郡上市白鳥町六ノ里487-1
TEL
0575-82-5981
設立
2011年
事業内容
滞在型貸し農園付きハウスの賃貸及び販売事業

ドイツ語で「小さな庭」は「クラインガルテン」、「菜園のそばの休憩小屋」は「ラウベ」と呼ばれます。クラインガルテン六ノ里では、リビングとキッチン、バス・トイレ(水洗式)、ロフトを完備したラウベを、農園とともに賃貸及び販売しています。

事業引渡への背景

 2011年、高齢化と耕作放棄地が目立った当時の六ノ里地域で、北山一朗さんはクラインガルテン事業を開始。間伐材を使用したラウベの建設によって地元事業者へ仕事を発注し、農地の保全と地域の活性化を図りました。都会に住む人の二地域居住を促し、都市との交流を進めたいという狙いもありました。 北山さんのクラインガルテンは順調に利用者を増やし、当初の3棟から現在は31棟まで増え、建物全てに利用者がいます。 「父とはこれまであまり事業について話す機会がありませんでした」と話す息子の健太郎さん。一朗さんが亡くなったのは2022年のこと。それまで地元企業で働いていた健太郎さんは、事業のことや健太郎さん自身のことを考え、第三者に事業運営を任せようと考えた時もあったと振り返ります。それでも父の形見を守ろうと事業承継を決心し、2023年6月に退職しました。

後悔するくらいなら、父の事業は自分が続ける

事業承継の決め手となったのは、どの選択をすれば、健太郎さん自身が一番後悔しないかということ。サラリーマンを続けながら誰かに事業を任せるのと、自分自身で運営することを比較した時、「もし失敗をして後悔するなら、自分がやって後悔したいと思い決心しました」と健太郎さんは心の内を聞かせてくれました。

引受者のコメント
父が創業した頃の利用者は、都市部の高齢者がメーンでした。現在は、40代から70代の幅広い年代の人々が利用し、畑仕事や地域の人々との交流を楽しんでいます。普通の別荘ではなく、自分で何かをしたいという付加価値を求める人、喧噪から離れ田舎でのんびり過ごしたい人が多いです。菜園だけではなく、ここを拠点として釣り、スキーなど様々な場所へ遊びに行かれる人も多く、市内の新しいお店情報などは私より詳しい人がほとんどです。積極的な利用者さんに、より満足いただけるように、これからできることを考えていきたいです。 メンテナンス方法や経営について、父からもっと聞いておけばよかったと思うことはしばしばです。地域の方々、母から意見を聞き、お客様のニーズに応えられるよう事業拡大を目標に頑張ります。
都会の利用者に人気の農園付き別荘と2階建てラウベの内観の画像
上)都会の利用者に人気の農園付き別荘
下)2階建てラウベの内観
春の花々と山々が紅葉の画像
上)ウキウキした気持ちを運ぶ春の花々
下)秋には辺りの山々が紅葉に染まります
郡上市商工会 経営指導員
中山博子さんより
亡きお父様の意思を引き継ぎ一念発起。今まで働いてきた会社を退職し、父の思いと、自分自身の目標の実現に向けて進んで行こうと決意された健太郎さん。未来に向けて歩み出したことを実感し、責任を共有しています。 今後、クラインガルテン六ノ里が、郡上にはなくてはならない施設になるよう、健太郎さんをサポートし、精いっぱい応援していきます。

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