Vol.11  かのみず あまご園

埼玉県からの移住者が引き継いだあまごの養殖事業

引渡者
和田水産
代表 和田孝平さん
引受者
かのみず あまご園
代表 西川弘祐さん
和田孝平さんと西川弘祐さんの画像

かのみず あまご園

所在地
〒501-4302 岐阜県郡上市明宝寒水470
TEL
0575-87-2146
設立
1974年(和田水産)
事業内容
あまごの養殖

吉田川支流の寒水川沿いで営む、あまご養殖業。山から流れる良質な水を使って、あまごを出荷。食用の成魚はもちろんのこと、養殖用の稚魚や卵も全国へ供給しています。

事業引渡への背景

かのみず あまご園(旧和田水産)は、1974年に和田孝平さんが創業して、半世紀近く営んできました。1960年代、寒水集落周辺ではあまご養殖が盛んで「明宝アマゴ生産組合」を組織化するほどでしたが、高齢化に伴い事業者は減少。和田さんは、確かな技術で販路を確立していた事業を誰かに引き継ぎたいと考え、2018年、岐阜県池中養殖漁業協同組合に相談。組合を通じて県へ後継者探しを依頼しました。 一方、埼玉県出身の西川弘祐さんは、旅行と釣りが好きで自然のなかで働きたいと考えるように。東京のIT系企業を退職し、関東近郊で林業の就職先を探すなか、テレビで知ったNPO法人ふるさと回帰支援センターを訪れ移住相談をしました。和田さんの事業を紹介された西川さんは、和田さんが登録していたデータを参考にしつつ、漁協、商工会、移住相談員の細かなサポートのもと和田さんとの面会を決めました。 2019年11月には、和田さんのもとで働き始めた西川さん。約3年間にわたり二人三脚で事業を運営し、2023年初めに、西川さんへの承継が完了しました。移住を支援するふるさと郡上会のサポートで、西川さんの暮らしに地域の若者との交流が加わり、地域での生活が成り立っています。

「純粋な印象の若者に可能性を感じた」
「自然豊かな環境でやりたかった養殖業ができる」と互いの思いが一致

和田さんが西川さんに初めて会った時の印象は、まじめで素直で、都会の若者なのに都会っぽくなくて純粋なイメージ。「すれていない感じで、落ち着いていましたね。少し話しただけで人柄の良さが分かりました。だから、あまご養殖の仕事の説明をして、本当にやってみたいのか、将来、自分が事業主となる覚悟があるのかどうか、彼の気持ちをしっかり聞きました」と和田さん。山の中で養殖の仕事をしたいと願っていた西川さんの思いと一致し、トントン拍子に事業承継へと進みました。

引渡者のコメント
年間で約50万匹のあまごを出荷しています。丁寧な仕事で拡大してきた事業を継いでほしいと考え、後継者探しのために準備した資料には、収入や事業内容を細かく記載。社名も和田水産から「かのみずあまご園」に変更し、受け手に配慮しました。 データを公開して3カ月後に、西川さんと出会い、秋には一緒に働き始めました。生き物相手の仕事です。観察力を身につけ、良いあまごの出荷者になってほしいです。体に気をつけて、無理のないように息を長く続けてほしいです。
引受者のコメント
冬の仕事は、気温マイナス10℃でも水の中で行います。大変だと感じることもありますが、和田さんには3年間助けていただき感謝しています。できるだけ早く一人前になって、安心してもらいたいです。 2023年秋には、和田さん所有のあまごは全て出荷され、私の資本だけであまごの養殖がスタート。念願の養殖業での生業が始まっています。
あまごを養殖する水槽の画像
あまごを養殖する水槽
餌に群がるあまごと水槽に草木や泥が入らないようにするシステムの画像
上)西川さんの餌に群がるあまご
下)水槽に草木や泥が入らないようにするシステム
郡上市商工会 経営指導員
古田孝之さんより
移住者の生活基盤を支える方法に、自らが起業するという選択肢があります。 事業承継は「起業・創業」の思いを確実に実現します。初めて事業を行うための資源を補い、有効に活用するにはとても良い選択だと思います。 今回の事例は、移住の夢を叶えた西川さんと和田さんの思いに寄り添え、とても良い経験になりました。ずっとサポートし続けたいです。

TSUNAGUJO 郡上の事業継承の実績(事例)